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『袁枚 十八世紀中国の詩人』アーサー・ウェイリー

中国清朝乾隆帝期の詩人、袁枚についての解説を二十世紀初頭のイギリス人東洋学者が書いたもの。
古典語としての日本語・中国語文学の解説者としては天才と言われただけあって、美しく格調ある文章で気持ち良く中国詩の世界に浸れました。
それに袁枚の詩の何処か自由で大らかな性格を、ちょっと狷介そうなウェイリーが解説する面白さ(そこか)。

半刻清談覚気差
未行三歩想呼車

↑ 最近、ワタクシもそんな感じ

空留両隻婆娑眼
貪看人間霧裏花

↑そうね、もう一花イケるわよね!

とは、流石に訳さないけどね。

勿論、日本語訳者の努力も感じられる名著で久しぶりに「楽しく現実逃避」出来る本でした。1958年の本なのにこの新鮮な感じは凄い!

当たり前ですが夢中になっても読み終えるのに半日かかり、おもむろにネットチェックしたら「ドナルド・キーン氏死去」とのこと。キーン氏の業績の素晴らしさは言うまでもありませんが、彼がウェイリーの『源氏物語』で日本語に興味を抱き生涯をかけた事が必ず記載される程の「名著をかける学者」はまた現れるのでしょうか。

時間をかけて古典を読み解き、新たな可能性を投げかけるような「学問」がどんどん廃れて行っている不安も感じた週末でした。

Commented by hungmei at 2020-10-30 10:22
お邪魔しますm(__)m

》袁枚の詩の何処か自由で大らかな性格を、ちょっと狷介そうなウェイリーが解説する面白さ(そこか)。

この一文にウケました!いいですねー
残念ながら漢詩は原文だとわからないのですが、袁枚って《紅楼夢》についての評論など、なんだかおおらかそうなのはすごく感じます。

良くも悪くもあの時代の文化人、読書人、詩人のおじさん(爆)の嗜好の枠組み!
Commented by ayaryna at 2020-10-30 14:49
hungmeiさん 你好!

紅楼夢も袁枚も、清朝最盛期・乾隆盛世の時代だから、バブル期っぽいイケイケな感じなんですよねー。だけど社会批判も含んでいる?のか!?っぽい印象です。
『歩歩驚心』でヒロインが毛沢東の詞をいきなり出して来たり、宋詩で漢字を覚えたりと「やっぱり漢詩は日本での源氏物語的なんだなぁ」と思ったもんです。
by ayaryna | 2019-02-24 13:05 | 読書 | Comments(2)

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