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中国ドラマ『花不棄』感想 その3

架空時代劇ですので、国号は不明ながら国姓は「陳」氏のこのドラマ(全体的には南宋っぽいイメージ)。最後の謀反で「東方氏」が反乱軍を起こすまで5代続いた「陳氏」が王に封じて皇位争いした「誠王の末裔」なので「世を忍ぶ仮の姓で『東方』に変えたのかも知れない。
朱家は江南の蘇州が本拠で、許婚の東方氏は荊州の出で「北方の人」呼ばわりされるので、北辺は異民族支配地が広がっている模様(この辺も金が北境支配してた南宋っぽい)。蕭九鳳は大理寺の尋問で「荊州の茶商」を名乗るので碧羅天は荊州なのか?と思いましたが、信王との約束で連れて行ったのは「霊丘」→地図を隠していたりと「蕭一族の隠れ本拠」っぽい(誠王の世子が逃げ込んだ鬼谷?)。
ところが阿福を助けに陳煜が駆け付けた「小丘林」が碧羅天だったので距離的に彼の封地東平郡のある西楚州近辺で無いと無理。まぁ、明月山荘の本拠も西楚州なので矛盾はしないけど、地名から連想される西楚州って江北、つまり長江中流の北側のイメージ。都からの赴任中に蘇州に寄り道した位だったのに、何故かバッチリ砂漠地帯で謎でした。廻り道が隋州つまり長江と淮河の間から登州、つまり山東省と険しい山地に向かうのかと思いきや、その先は完全なる砂漠、シルクロード的地帯。
むしろ最初に花不棄が居たのが西州つまり今の甘粛省でそっちの方が砂漠っぽいのですけどね。そして砂漠ロケでお金がかかったのか、宮廷内は貧相な内装で、大商家や王府も「よくある中国古いお屋敷レベル」とセットはトコトン節約モードだと思いました。
肝心の碧羅天に至っては「早く宮中から出て戻りたい」と張妃(阿福の妹)がいう位だからさぞかしゴージャスまたは桃源郷的なのかと思いきや、岩だらけの林の中の井戸がある洞窟レベルで「そんな所にわざわざ隠すお宝って価値があるのか」という、碧羅天の聖女よりも大商人の妻の座を朱八華の奥さんが選んだのも納得してしまった(そこか)。




花不棄が朱珠になって、雲琅以外は基本「朱珠」または「やーとぅ(小娘)」と祖父や許婚が呼ぶんですが、字幕だとずっと朱珠。使用人は小姐(お嬢様)呼びですが、朱姑娘と呼ばれるのはあんまり無い。許婚の東方炻を朱珠が呼び捨てや周りが「東方神医」とか東方公子呼びはともかく、陳煜を幼馴染みの元嵩や柳青蕪まで「陳煜」呼びは「仮にも宗室で郡王なのに?」と謎でしたが、日本語字幕は陳煜だけどよく聴くと「長卿」(→中文字幕で確かめた)と字名で呼んでました。花不棄も異母妹時代は「殿下」と呼んで哥哥とは呼ばなかったし、韓業などは「小爺」と若様呼び。なので東方炻が「砂漠で現れた徐卿」が蓮衣客と早々に気付いても、東平郡王とは分からなかったのも無理ない状況。
新興勢力故の不安定さなのか、暴力沙汰が多いからか明月山荘は内紛状態。花不棄襲撃でお尋ね者となった柳青蕪は陳煜に「碧羅天の情報を流すから荘主の座が欲しい」と早々に師匠の明月を裏切り、柳青妍も莫若菲から「薛家襲撃時に双子の赤子が行方不明に」と言われて、庶子で虐げられていた明月が薛家への復讐で自分達を育てていた事を知ります(つまり双子は明月の姪)。霊丘の件で密かに毒を青蕪から盛られ、東平郡王を誘き出したら逆襲されて青蕪に明月山荘を奪われた柳明月は砂漠の盗賊の根城に潜伏、柳青妍は戻って来ましたが謎の体調不良で金鍼治療も何故か効かない状態(自分で毒を呑んでた)。陳煜が自分に夢中だと明月に信じ込ませた青蕪は、自分でもそう思い込んで「長卿」呼びで馴れ馴れしく纏わり付きましたが、陳煜は明月を探して砂漠の盗賊狩りに一人で出かけてしまいます。
一方で東方炻から「誠王」の令佩を掏り取った朱珠は東平郡行きを誤魔化す為に隋州から登州経由で西楚州へと朱寿を伴って向かいます。朱珠に騙されたと知った東方炻も似顔絵を二百枚配って探しますが、最初に朱珠達が博打用のルーレットを売り付けた隋州の賭場が東方家の物だったのであっさり行き先が知られてしまいます。この人達は東方炻を「若様」呼びなので蕭家(東方家)の商売も意外なくらいに手広い模様。
砂漠で「賭場と娼館」を併設した宿に泊まろうとする朱珠達は宿の女将(一応)の金仙が朱寿に博打で大負けした恨みがあって、東方炻を誤魔化して抜け道で逃す代わりに仲間の盗賊の営む宿に誘導。見た目の割には出来る男の朱寿が先に気づいて朱珠を逃して、自分は銀子を投げて金持ちアピールをして身代金要求の手紙を書いている間に、東方炻が金仙を人質にして追いついて来ます。彼が盗賊達と揉めている間に朱寿も逃亡、砂漠で迷子になった朱珠には東方炻が追いつきます(朱寿はちゃんと目的地に向かえた)。
50万両を荒稼ぎした隋州の賭場が東方家の物と知って驚く朱珠から令佩を取り返して、一緒に西楚州へ向かう東方炻ですが、彼は朱寿ほど方向感覚が優れて居なくて二人で迷子になります。まぁ、毒蠍に刺されても治療してくれたり、虫除け薬を作ったりと便利な神医と蛇を追いかけて果樹を見つけてみせるタフな元乞食なのですが、この二人を砂漠で見つけるのが盗賊の根城捜しに来ていた陳煜。彼は「徐卿」と名乗って水や食料を二人に分けて一緒に砂漠を抜ける事にします。初対面のフリをしながらも陳煜とラブラブモードの朱珠が気に入らなくて、蛇を呼び寄せて食べ物で釣ろうとしたり、許婚だと徐卿に強調する東方炻。なんだか三人の恋の鞘当をさせたいが為にわざわざ砂漠を彷徨わせたのかと思った。鼠も食べちゃうヒロインだと、蛇を食べるか我慢するかとかゲテモノ食い話になるし。ようやく水場まで辿り着き「身体を洗いたい」と男二人に目隠しして見張りさせた上で、こっそり陳煜に渡された痺れ薬を東方炻の水入れに朱珠が入れていると、陳煜を追いかけた柳青蕪が現れます。「怪我した身だけど砂漠で育ったから地理には明るい」とアピールする青蕪は陳煜を「長卿」呼び。偽名は「元から信じて無かった」東方炻でしたが、九華を殺した青蕪に恨みのある朱珠は陳煜が青蕪と親しく名前で呼び合う事で不機嫌となり、東方炻も朱珠が嫉妬するなら長卿が蓮衣客だと気づきます。青蕪は花不棄そっくりの朱珠を陳煜が気にするのが気に入らないので、宿で手当しながら東方炻に持ちかけられると「陳煜と二人で寝台で寝てました」姿を朱珠に見せつけます。泣きながら宿を飛び出した朱珠と追いかけた東方炻は盗賊の砂鼠と朱珠が痺れ薬を入れていた水を飲んでしまい、朱珠は盗賊の頭領の馬大胡子の所に拐われてしまいます。眠り薬から覚めて慌てて追いかけた陳煜は東方炻と片っ端から盗賊の手下を捕まえては根城に案内するよう脅しますが、朱珠の方は「大金持ちの司馬家の令嬢で100万両の身代金が払える」と誤魔化して、根城で賭け事をしながら内部の様子を探る逞しさ。柳明月が司馬家の令嬢に会いたいと言い出して、顔に泥を塗って「見覚えあります。明月山荘の方では?」と切り抜けていると陳煜達が根城に侵入して騒ぎになります。陳煜を見て「東平郡王だ、殺せ!」と命じる明月を見てビックリする東方炻。
「あれは祖父の兵だろう」(東)
「盗賊を装うのも訓練のうち」(明)→どう見ても盗賊が本業
馬大胡子の上司の明月の更に上役の東方炻の命令で「男は殺せ。女は殺すな。私との関係も伏せろ」となりましたが、陳煜と岩陰に抱き合ってラブラブで隠れる二人は見つからず、明月からは長卿が東平郡王だという事や、明月山荘が青蕪に乗っ取られてしまった事などを聞かされて怒り顔の東方炻。ついでに「花不棄と東平郡王は実は兄妹ではない」事もようやく知ります。
彼を怒らせた砂鼠は怯えますが、馬大胡子は捜索に疲れて自室に戻った所を陳煜に殺され(墓碑銘:睡魔に負けた男)、朱珠が見張りの配置図を見つけ出します。
結局明月が陳煜を見つけて手下が取り囲む中を、火事騒ぎを起こして東方炻が無理矢理に朱珠を駅站まで連れて行きます。陳煜の配下の韓業や小六に彼の救出を頼む朱珠を気絶させた上で、根城に戻って官兵が来る事を知らせる東方炻。蕭九鳳が小丘林に兵を配置する為に出動していた盗賊達も全員撤退し、傷だらけの陳煜は韓業に救出されます。
「郡主」には東方郡王の許可無く会わせられない、と韓業に断られた東方炻は西楚州の賭場廠金窟の玉夫人に命じて明月山荘の奪回する配下を手配します。
迷子にならずにさっさと東平郡に到着していた朱寿は朱珠救出を何度も役人に手土産持参で依頼してましたが、金策に来た賭場で盗賊の根城が一掃された事と「人質は誰も見つからなかった」と聞いて泣き暮れます。そこに図々しく近寄って「朱珠は盗賊ではなく色魔の元にいる」と脅して100万両の委任状を書かせた上で「手付金」の50万両の準備で賭場に同行する東方炻。玉夫人のイカサマで旗色が悪かった「江南一の賭け事師」朱寿でしたが、朱寿の不在を不審に思った朱珠が廠金窟に現れた事で彼女が無事で郡王と一緒だと知ります。「無事に戻ったのだから100万両」を要求されて、
「私は以前蓮衣客に攫われて、、、『無事』な身体じゃないの」(花不棄)
「はしたない。名節は大事だぞ。私が郡王として蓮衣客に責任を取らせよう」(陳煜)
→以前求婚者除けに誘拐騒動を仕組んだしっぺ返しが直撃した東方炻でした。
100万両を「本王が払う」と言ってのける郡王様でしたが、賭けの50万両を掛け金倍増して朱珠のアドバイスでヒビの入ったサイコロを荒技で半分に割って数を増やして勝負に勝つ朱寿。→玉夫人はきちんと皿で蓋してたけど、彼は皿無しで振り回して空中でサイコロを分解した事はツッコミたい。
委任状の100万両を賭けの勝ちで帳消しにして「初めて会ったが古くからの知己の様な」朱珠をもてなすからと郡王府に向かう陳煜達でしたが、東方炻の指示で黒鳳が配下と明月山荘を奪回して皆殺し状態となった青蕪と侍女は郡王府に逃げ込んで来ます。せっかく料理を作ったのに陳煜が呑んだくれ青蕪と居ると知って、怒って郡王府を飛び出して朱寿と道端で物乞いを始める朱珠。→そんなに肥えた乞食は居ない!という朱寿への指摘は笑った。
その様子を見て揶揄う東方炻、慌てて追いかけて来て具合悪いフリで連れ戻す陳煜。「朱珠が機嫌が悪いのは青蕪絡み」と当たりをつけて郡王府にやって来た東方炻は、女達が騒いでも部屋に閉じ籠っている陳煜の行方を探して、朱珠を「朱八華危篤」と偽情報でおびき出して攫おうとしますが(またか)、途中で青蕪の刺客に邪魔された挙句に最終的には陳煜に朱珠を奪還されてしまいます。
ちょうど皇帝の追手を連れた阿福と妹の張妃が「小丘林(碧羅天)」に向かっていて、官兵を討つ為に盗賊達を小丘林に招集していた祖父の蕭九鳳は毒煙作戦で対抗、郡王府から駆け付けた陳煜に助けられながらも官兵は殺され、阿福は血の手形を入り口に目印として付けるも「妹と一緒に埋葬してくれ」と言い残して、陳煜に命珠と地図を渡して亡くなります。そこまで妹に拘る謎な「碧羅天の族人で武術の師匠」阿福の死を悲しむ陳煜を朱珠が慰めます。柳明月は蕭九鳳を庇って矢で射られるのですが、あっさり置き去りにされた挙句、柳青妍に敵討ちで殺されてしまう最期。矢の達人が現場に居た→蓮医客つまり陳煜が地図を持っている、と碧羅天の聖女の朱珠と地図や命珠を奪おうと郡王府を計画した東方炻と蕭九鳳でしたが、一足先に皇帝が謀反の罪で陳煜を捕らえてしまいます。小六と無事に郡王府を逃げ出した朱珠でしたが、眠って居た朱寿は捕らえられ、かつ皇帝の密使として白漸飛が登場します。
「一年以内に碧羅天の秘密を探り出し、花不棄と会ったら朱府も謀反人一味とみなす」と"陳煜は実は蓮医客で朱珠になった花不棄と恋仲何ですよー"、と皇帝に告げ口してた白漸飛、コイツと友達だった事をさぞかし陳煜も元崇も後悔しただろう展開でした。毒薬飲ませようとしたら返り討ちで自分が飲まされましたが、本当は胃薬だったらしい(笑)。医者の林兄妹は蕭九鳳から「どうやっても完全な解毒剤が作れない」毒薬飲まされてますが、この「解毒薬が欲しかったら〜」脅迫を「お前が飲め!」的に解決するのは珍しいパターン。その手が合ったかと妙に納得。
東方炻から「陳煜は皇帝が欲しがる物を差し出すまで拷問されるだけ」と聞かされて、何故彼がそんな事を知っているのか?と疑問を抱いた朱珠は、この「謀反騒動」も陳煜が皇帝と画策したものだと勘付きます。朱珠は白漸飛に「朱府は商売以外では東平郡王と関わりない」と釈明して保釈金を払って朱寿を釈放して貰い、東方炻を訪ねようとして青蕪に拐われて妓楼に売り飛ばされそうになり、彼女に弩を放って逃げ出すと馬飼の白巴が助けて東方炻が廠金窟に連れて行きます。その様子から馬飼が東方炻の配下だと知って、彼に扮装して朱珠の前に現れる陳煜。そこまで扮装技術が有るなら、蓮衣客も仮面じゃなくて別の顔にするとか、朱府のお披露目での髭扮装は何だったというか、阿福は武術だけでなく別人に扮装するのも教えてたのか?的には驚いたんですが、「例の手首の傷痕」で一目で陳煜だと分かる朱珠。
彼女は『謀反覚悟で隊列を攻撃したフリ』作戦で東方炻を欺き、陳煜は「襲撃されて死んだフリ作戦」で碧羅天の話を知る謎の「旦那様(蕭九鳳)」誘き出して始末して二人で世を捨てて隠遁しようとします。ちゃんと「祖父の朱八華もこっそり朱府から連れ出したから」と手回し済みでした。
東方炻達は「皇帝に地図などが渡る位なら火矢で燃やせ」と東平郡王の護送を襲い、黒焦げの死体を朱珠に確認させます。手首の傷痕で陳煜が死んだと思って茫然とした朱珠は「彼が居ない世に未練がないから祀りたいならどうぞ」と東方炻に投げやりに言って、彼が正確な予言の内容(聖女を殺す必要がある事)を知らない事が発覚します。「祖父に確かめる」といったん解放されたので小蝦達と江南に戻ろうとして例の馬飼に扮した陳煜が現れて二人で去って行く。→取り残された朱府の面々はさぞかし困っただろうと思う。八華も行方不明だし。
隠れ家で命珠を触って自分が本当に「碧羅天の聖女」だと驚く朱珠。二人でイチャコラ隠れ家生活を楽しみますが、小六は連れて来たのに小蝦置き去りは可哀想と思った。
一方の東方炻は「聖女を祀る」つまり朱珠を祖父が殺すつもりだと知って
「彼女を傷つけたら鬼谷に火を放つ」(東方炻)
「娘も同じことを言って誠王の世子と結婚し、孫を皇位につけると約束した」(蕭九鳳)
一族皆殺しの没落王族に惚れた娘の為にあれこれ商売をしたり、碧羅天の聖女を探し出して婚約したり、北野王と陰で密約結んだりと頑張って来た蕭九鳳、「私も仙人では無いし、もう若くないんだから」的に孫の説得に励みますが
「予言に頼らないで皇位を奪ってみせる」(東方炻)
と反乱軍を率いて謀反を決める孫の意向でまたも馬疫で薬探しに奔走する飛雲堡を訪れて
「誠王には恩義があるだろ。馬が納められなかったら皇帝に殺されるだけだろ」と"汚いなさすが"な説得で「誠王の孫の擁立に協力したら一品の重臣にする」と寝返らせます。あれだけの軍備を賄えて、挙兵できる位にお金貯めこんでいたのに「碧羅天の宝」も必要なの?的に凄腕の蕭九鳳(信王よりは一枚も二枚も上手)。
妹の莫夫人に「謀反に加担するから、急いで逃げろ」と連絡したのですが
「すぐに土地も屋敷も売り払うのよ」(莫夫人)→資産を現金化する暇なんてある訳ない、さっさと逃げろと突っ込みました。馬の薬を兄の反対を押し切って雲琅に提供したり、蕭九鳳を殺そうとしたりと相変わらず行動力抜群の林丹沙にようやく絆された雲琅は「飛雲騎」設立と林兄妹の完全な解毒を条件に謀反側に加わります。あんまり頭脳派では無いけど軍人としては役に立ちそうな雲琅。「横暴」だけど尽くす女の林丹沙。でも婚儀はお流れになってしまいます。
軍馬など軍事品関連の大商家が寝返った上に、地方の役人も謀反側に抱き込まれ済みで窮地に立った皇帝。白漸飛に頼んで「碧羅天の聖女が誰か教えるから」と拝謁して花不棄のことを伝えた青蕪はそのまま青妃となります。あんだけ陳煜に付き纏った割には権力者ならなんでもよかったっぽい。
朱珠が聖女と知った皇帝は朱八華を捕らえて、朱珠も指名手配してしまい、その事を知って慌てて隠れ家から都に戻った陳煜でしたが、皇帝に刺された上に「武芸が出来なくなるお香」を焚かれたりと「仮にも実の甥に残酷な」展開になります。しかし「江湖を渡り歩いてきた」陳煜は元嵩に薬酒を頼んで対抗します。白漸飛の裏切りを知った元嵩は怒りますが、そもそも元嵩の言動で蓮衣客が陳煜とバレたんじゃないの、とも思った。
朱八華と陳煜が囚われたと後から知って駆けつけようとして莫若菲に会った朱珠は「莫府の侍女」のフリで都に入ります。林兄妹はさっさと逃げ出したのに、莫若菲の帰りを待っていた莫夫人は、薛家焼き討ちとか花不棄毒殺とか、あの行動力は何処へと言いたいノンビリが仇となり、皇帝の命を受けて官軍が皆殺しに来てしまいます。実際には「莫百行の娘」である花不棄がお家取り潰しのタイミングで莫府に戻るという皮肉な状況で、莫夫人や侍者の剣声は殺されて、朱珠と莫若菲は女装(というか元々男装していた女性)で逃げ切ります。この「花不棄と莫若菲の異母妹設定」とか「実は男装の麗人だった若菲」とか要らなかったというか、無駄だった気がする。莫若菲は男装だと綺麗だけど、女性姿だと「氷川きよし」に似てて美人だけどゴツイ感じの女優さんでしたが、「男よりも格好いい」と人気らしく。。。
従兄や伯父を頼って反乱軍側の陣営に現れた莫若菲は「一兵卒」扱いで置いて貰える筈が女性とバレて断られ、「朱珠の居場所を教えるなら千夫長」と東方炻と取引します。小蝦と元嵩とようやく落ち合って陳煜の状況を聞こうとしていた朱珠は莫若菲によって東方炻に引き渡され、彼は「祖父に殺されたくなければ私の傍が安全」と軍営に閉じ込めます。彼から逃げようとして陶片で怪我した朱珠の治療を林丹沙に任せる神医の東方炻でしたが、
「乞食娘だったのに、東平郡王も誠王の孫も貴女に夢中になるのね」(林丹沙)→いつの間にか陳煜が花不棄を好きなのは公然の事実化していたらしい
彼女に痺れ薬が欲しいと頼んでいったんは断られた朱珠でしたが、雲琅が朱珠を助けようとする姿に涙しながらも、結局は薬を仕込んだ鍼を渡した林丹沙でした。美人だし、お嬢様だし、医術も出来るのに何故か「目つきがやばい」感じで極端な行動に走る彼女もどうかと思うけど、この期に及んで「花不棄を助け出す」とか言い出す雲琅もしつこい(ある意味お似合いカップル)。結局侍女を鍼で眠らせた所で蕭九鳳が軍営に現れて毒薬を飲ませて「どこに命珠と地図の半分があるか言え」と脅している最中に戻って来た東方炻は、自分を刺すことで祖父を脅して解毒剤を朱珠に飲ませます。そこまでされても「祖父の八華と陳煜を助ける」と皇帝の元に向かおうとする朱珠を閉じ込めましたが、折悪く雲琅が手助けして朱珠の所在不明状態の時に「城門で朱珠と朱八華を処刑する」と皇帝の布告が伝わります。
小蝦を城門に向かわせて、「朱珠」が偽者だと確認した東方炻でしたが朱八華は処刑されてしまいます。重傷の小蝦は元嵩に「お嬢様を守って欲しい」と言い残して亡くなり、「京城守護将軍の一人息子だから」と彼はそのまま人質継続となります。
反乱軍側が次々と要所を陥落させていく様子に焦って内通を申し出る白漸飛(汚いなさすが)。陳煜は監禁場所から逃げ出して皇帝に密かに謁見し、「少数の兵を連れて反乱軍を討ちに」出兵する事になります。東方炻と一騎打ち勝負して危機に陥った陳煜の代わりに韓業が刃を受け、「薄情な皇帝に尽くすよりも、降伏して誠王側について欲しい」と懇願し、陳煜は投降します。小蝦の死を悲しむ朱珠に「朱八華は処刑された。陳煜は降参して配下となった」事を告げる東方炻でしたが、祖父の死と恋人の裏切りで食事もとらなくなると陳煜に説得させ、「皇位を取ったら江南朱府を再建するから」と朱珠を慰めたりします。投降は誠王側の内情を探る為に皇帝に陳煜が進言した芝居だったのですが、青蕪が皇帝の妃として傍に居る事を知った東方炻は双子の青妍と入れ替えて皇帝暗殺を画策します。青蕪も「ここで活躍して寵愛を得る」と青妍誘き出しに協力しますが、あれだけ不仲だった双子は「明月が私たちの親を殺して、子供時代を奪った仇だった」と青妍に言われるとアッサリ和解。ちょっとの間隠れていてね。で納得した青妍ですがこの双子設定も何のため。。。
叔父の常管に投降を薦めるから、と徐州に東方炻や朱珠と向かった陳煜は、雲琅や林兄妹とも裏で手を組んで疫病を誠王軍側に広めた上に、必要な薬を買い占めて渡さないという"こっちも汚いなさすが"手段で東方炻の戦力を奪います。弱腰の兄と違って父と祖母(この人はいい人だった)の敵討ちとして蕭九鳳に見事に復讐を果たした林丹沙。でも、雲琅は飛雲騎どうするの?的に心配になりましたが(彼はいつも行き当たりばったり)。
徐州を失って朱珠を連れて逃亡した東方炻も疫病で体調を崩しますが、流石に彼を見捨てられなくて看病したり「乞食鶏」を作る花不棄。どんな料理かと思ったら「単に鶏を丸焼きにしただけ」という材料を調達するのは大変そうだけど、蛇の羹の方が技術が要りそうとか思った。謀反の失敗で今度こそ祖父が「碧羅天の宝」を手に入れようとするだろうから、と「流石に孫の妻は殺さないから」結婚しようと花不棄に申し出る東方炻。そんな彼を「女にかまけて居ないで謀反に集中しろ」的に怒る莫若菲(皇帝に復讐したい)。彼女が密かに蕭九鳳に花不棄達の居所を連絡してしまいます。何気にいつもズルく立ち回るのが莫若菲でしたが、雲琅達からの連絡で陳煜と元嵩も花不棄に追いつき、「取り敢えず結婚式承諾した作戦」で時間を稼ごうとします。ボロイ田舎の建物で婚儀を挙げていると駆けつけた蕭九鳳は「とにかく碧羅天の宝が居るんだー」的に朱珠を攫い、「お前が伝えたのか!」と東方炻が莫若菲を殺し、花不棄を守ろうとする雲琅を黒鳳が殺し、林丹沙も血みどろになりながらも雲琅を庇って亡くなり、まさかの元嵩まで剣で戦って亡くなり、、、もう誰が誰を殺したのかもよく分からない位に皆死亡してしまいます。
朱珠を連れた蕭九鳳を追って「阿福が残した血の手形のついた入り口」を探した陳煜と東方炻でしたが、「単なる岩山」しかない碧羅天。洞窟の井戸の前で例の命珠に花不棄の血を垂らしてましたが、二人が乱入して来ると井戸に花不棄を突き落とそうとする蕭九鳳。「聖女を祀る」って井戸に入れること? 結局朱珠を庇って祖父の刃で東方炻も死んでしまい「死んだ孫の所にお前も行け」と殺されそうな花不棄を守って、蕭九鳳と井戸の中に墜ちる陳煜。必死で腕をつかむ花不棄に
「手を放せ」(陳煜)
と自分から井戸の底に墜ちていきます。
最終的に「碧羅天は破壊され、新たな減税措置で治世も安定した」と皇帝側の勝利と裏切り者の白漸飛の処刑が噂される街中。実馬朱八華は陳煜の作戦で処刑されていなかったので無事な模様ですが、四大名家のうち飛雲堡と莫府と明月山荘は壊滅した筈なので、債権者も居なくなった江南朱府の天下なのかなぁ。お忍びの皇帝は「名君」と呼ばれて、ご寵愛をゲットできたらしい青蕪と共に「蓮衣客」の話を講談師が語るのを聞きます。
「以前は一度に10本の矢を放ったが、今では千里先からも百発百中」(講談師)
街道で商人を襲う盗賊の前に現れた蓮衣客でしたが、女性だと馬鹿にする盗賊たちを罠で仕掛けて全員捕らえます。
「私が男ならもっと恐れられるのに」
と言う花不棄の前に、同じ仮面をつけた蓮衣客が現れて二人は抱き合ってハッピーエンドとなります。
まあ、あれだけ反乱鎮圧に協力したんだから「隠遁したい」願望を皇帝が認めるのはありかも知れません。が、「どうやってあの井戸の底から戻ったのか」的な根本的な疑問は解決しないエンディングでした。
と言うか、「実際の碧羅天」がどう見ても"ただの井戸がある洞窟"に過ぎなくて、「天下も取れる程の財宝の隠された場所」に不適切過ぎたのと、最後に皆殺されてしまう荒業でこれまでの面白さが半減したラストだとも思います。
それでも51話もある割には、「古装ドラマあるある」を次々と展開してダラケズに最後まで話を持っていくのは面白かったし、むしろ「ちょっとその要素(男装の麗人とか双子とか)要らなかった」位にテンコ盛りでした。チャン・ビンビンの笑顔が本当に可愛くて、アリエルも若々しくてお似合いの組み合わせで楽しく観れる作品でした。
以上、中国ドラマ『花不棄』感想でした。

Commented by hungmei at 2020-10-10 11:13
こんにちは!またお邪魔します。

《小女花不棄》(2019)感想、ラストまで楽しく読みました。これでもウン十億かけてるんですよね。砂漠で使いすぎたのかなw余談ですが、見た順番も有り、これ以降どのドラマを見ても「あ!不棄の時のセットと同じ!」が私の中で多発しています。

浙江横店影視城でロケが多く、内装は変えられても建物外観は難しいのか、14話で川からずぶ濡れで避難した小屋や七王府の廊下(風呂のぞきの後不棄が倒れたところ)は五、六作品で見たような。

小屋はさらにその前の17年のドラマでも見て、やはりけが人を解放してましたね。既視感がすごい。

そして、明月の退場のあっけなさ。碧羅天のしょぼさ。砂漠のイチャコラやそれ以降の主役二人のベタベタは、「なんだこいつらはぁー」ともはや突っ込むために見ているようなw

郡王府にきてからも、韓業と小六は陳煜のことを殿下でなく小爺で呼んでいて、もう老爺なんじゃないの、とか、なんで郡主が朱姑娘に?と訝しむ小六を韓業が叱りつけるシーンが微笑ましかったです(そしてこの二人だと韓業が格上?年上?なんだなーと初めて認識した)。

砂漠の宿の女将は初見で俳優さんの女装かと思っていたら、女優さんでした。インパクトありすぎでびっくりです。

個人的には林丹沙はクレイジーなりに目的はわかるのでまだ驚かないのですが、柳青蕪は陳煜を「長卿」と字呼びでなんというか盟友、戦友みたいなふんいきを出してうへぇ−と思ったし、後宮に入って復讐とかそんなに恨んでるの?と思えば陳煜が捉えられると外聞もなくすっ飛んでいこうとして賢い侍女にとめられるし、ドラマの中で個人的に行動原理が一番読めない人でした。武術できるくせに弱いフリとかバレバレじゃん!とか。

Commented by hungmei at 2020-10-10 11:20
(長くなり申し訳有りません、字数制限により分割します)

元祟ははじめ性格も頭も良いキャラかと思いましたが、蘇州行あたりから頭は良くないのか…としょんぼりした記憶が。好きなんですけど。そして中国時代劇あるあるで、なにも全員無理やり殺さなくても、かつ最後が雑!本国ですら雑だと言われていて珍しく賛同しました。4分で主要人物がほぼ死ぬってなんやねん。

黒鳳役の女優さん主演で姉妹編《小女霓裳》を今年放送しましたが、どうだったのかなぁ。主役には地味では?と思いましたが、スチールを見たらおきれいでした。不棄本編では美しいとかはなかったので。

莫夫人もあれだけやらかした最後ならまあふさわしいとはいえ、抄家って別に殺されないよな、まず捕縛されるよなぁ…それで官婢になるとかだよなぁ…と。剣声が死んだのは悲しかったです。でも莫若菲と不棄の異母姉妹設定はいらなかったし(異母兄妹で足りたような)、抄家後の莫若菲の行動がそれまでとあまりに違いすぎて、ショックから?と言っても展開の速さも有りあれーあれーで終わったのを覚えています。

お坊ちゃま育ちの陳煜、山林に隠れ住んでも小六はついていきそう。

南宋…たしかにそんな感じですね。ここの皇帝の執務殿もなぜ円形?と疑問に思ったような。小説だともう少しまとまってるのかな?と椿椿の原作小説を読もうかで迷います。

張彬彬は表情豊かな役は初めて見て間違いなくキャリアでプラスになりそうでしたし、アリエル・リンもキュートさ健在でそこは間違いなくよかったですね。東方炻で俳優さんがブレークしたそうなので、こんな強引で不遜な人?と思ったのですが、中韓時代劇だと結構人気のあるタイプかもなぁ、と思いました。

強引男子にぐいぐい攻められるヒロイン、が萌え?
Commented by ayaryna at 2020-10-10 11:53
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。

そうそう後宮モノだと紫禁城ランドでキンキラセットだし、そういう意味では本作の皇帝の居所は微妙にショボかったですよね!
元崇はあれで「進士」で金で合格した東方神医の「秀才」よりも上の筈なのにお馬鹿さんでしたが、人柄は良くて癒しキャラだったので彼まで殺さなくても…と思いました。
リン・ボーホンは前髪有りの髪型がイケメン度をあげてましたが、そんなに人気あったんですか? この話は全体的に「いたキス」的王道少女漫画展開でアリエルにはピッタリだったので入江君キャラ的に受けたのかなぁ。 チャン・ビンビンがこれまではイケメンだけど妙に色気があり過ぎるからなのか?暗くて鬱屈した役柄が多かった印象なので、仮面の義侠で笑顔可愛い本作は良い意味で役柄広がった気がします。
姉妹作…、役者さんの知名度的には日本上陸は微妙ですが、ネットでついつい観てしまうかも。

また色々教えてくださいませ。
Commented by hungmei at 2020-10-10 12:49
ayarynaさん

さっそくのご返信ありがとうございますm(__)m
こちらこそいろいろご教示していただきたいです!

台湾芸能には詳しくないのですが、リンボーリンさんはこれでブレークした、というのが大陸エンタメ界の見方みたいです。張彬彬が20代、アリエル・リンが撮影時36歳くらいか、ちょうどその真中。

これでブレークして、やっと俳優として花開いた的に語られてました。

以前から認知はしていたので、そうなんだ、時代劇しか見ないから俳優さんの知名度や人気がトータルどれくらいかよく知らないけど、リンボーリン苦労人?だったんだー、なんて思ったり。

元祟は生かしてほしかったですね!そうでした、進士に及第している上に、父親絡みでしょうが官職にも着いてましたね。なんだっけ、副とついていた…。

文武両道なのに!人柄は間違いなく作品の中で一番良く精神的に大人だと思いました。演者さん、前に見たドラマではもう少しかっこよかったので、元祟役がはじめはうーんと思ったものの、地味な感じもキャラクターには合っていて最後は好きになりました。

でも、一人息子っていっていたから、元府の祭祀が…養子を取るだろうけど直系男子相続に一番こだわるのに…と、幻想時代劇なのに余計なお世話でした。陳煜も一人息子でしたし、より史実に近い作風の時代劇なんかではまずお目にかかれない設定が新鮮でした。

あと作中の地名の地理も興味深く拝見しました。話のとおりに構成しても矛盾が出てきますよね💧そして碧羅天、て、誰が何でなした財宝だったんだろう…そして聖女が遺伝ってどういう…謎だらけ

カップルのシーンとおなじくらい、もしかしたらそれ以上に、陳煜と元祟の二人トークが良かったです。元祟みたいな親友欲しい。白斬飛はなしで!\(^o^)/

by ayaryna | 2020-10-06 11:42 | 中国ドラマ | Comments(4)

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